元論文
Life-history stage determines the diet of ectoparasitic mites on their honey bee hosts
https://www.nature.com/articles/s41467-024-44915-x
ヒトの場合
生き物はライフステージによって同じ種でも食べる物が変わるものが多いです。
ヒトも例外ではありません。
2か月前に生まれたうちの子どもは未熟児だったこともあり、
生まれてすぐは鼻から胃へチューブを通して、そこからミルクを飲んでいました。
生後5日目ぐらいからは口からミルク(母乳)を飲んでいます。
さらに、子どもは生後6ヶ月から2歳ぐらいまでは離乳食を食べて徐々に普通食へと移行していきます。
そこから10代後半ぐらいまでは家庭や学校で出されるものを食べる方が多いかと思います。
そして徐々に色気づいてきて(繫殖期に入り?)、肌をきれいにしたり筋肉をつけるためにサプリやプロテインを飲むようになったり、瘦せるためにダイエットをしたりもするかと思います。
また成人してからお酒を嗜むようになる方もいることでしょう。
ダニの場合
続いて、ミツバチヘギイタダニというミツバチに寄生するダニについて見ていきましょう。
このダニは養蜂において重大な被害をもたらすため日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。
子ダニはミツバチの蛹の入っている巣の1室で生まれて、大人になるまで蛹から栄養を吸い取ってに寄生します。
ミツバチの蛹の腹部第2節の腹板から主に摂食します。
大人になると、兄弟姉妹間で交尾をして、成熟したメスは引き続き羽化した成虫に寄生します。
オスや成熟が間に合わなかったメスは死んでいきます。
成熟したメスは再び別のミツバチの蛹に寄生して産卵します。
ミツバチの成虫に寄生する際に、ダニは毛繕いなどで除去されにくい前伸腹節や背板の間にとりつきます。
これらの部位には脂肪体(昆虫のエネルギーの貯蔵と供給を行う器官)が集中しており、成虫に寄生しているダニは脂肪体を主な栄養源としていると考えられています。
しかし、ミツバチの蛹の脂肪体は成虫のように1か所に集中していないため、 Institute of Apicultural Researchの研究チームは蛹に寄生しているダニはミツバチの蛹の血液(血リンパ)を主な栄養源として利用しているのではないかと予測しました。
この仮説を検証するためにミツバチの蛹と蛹に寄生しているダニ体内の脂肪体と血液(血リンパ)を蛍光染色して存在量を比較しました。
その結果、ミツバチの蛹で脂肪体よりも血リンパの方がよく染色されました。
ダニ体内でも脂肪体よりも血リンパの方がよく染色されました。
これらの結果から蛹に寄生しているときは脂肪体ではなく血リンパを食べている可能性が高いと言えます。
さらに確証を得るために研究チームは蛹に寄生しているダニと成虫に寄生しているダニの体内のタンパク質や化学物質を分析・比較しました。
その結果、成虫に寄生しているダニだけからビテロジェニンというタンパク質が検出されました。
ビテロジェニンは成虫の脂肪体に貯蔵されているため成虫に寄生する際には脂肪体を栄養源としているという仮説と一致します。
また、蛹に寄生しているダニからはアミノアシルtRNAやABC輸送体が多く検出されました。
アミノアシルtRNAやABC輸送体はアミノ酸からタンパク質をつくります。
昆虫の血リンパには高濃度のアミノ酸がふくまれるため、この結果は蛹に寄生しているダニが血リンパを主な栄養源としているという仮説と一致しています。
これらの結果から、
蛹に寄生するときは血リンパを、成虫に寄生するときは脂肪体を主な栄養源として利用しているということが裏付けられました。
またローヤルゼリーというタンパク質はミツバチの幼虫と蛹の血リンパと成虫の脂肪体に存在していますが、蛹に寄生しているダニだけから検出されました。
ダニが分散期(成虫に寄生)と繁殖期(蛹に寄生)に必要とする栄養が異なるのかもしれません。
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