元論文
Two transcriptional cascades orchestrate cockroach leg regeneration
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.12.09.570905v1.full
ヒトの場合
ヒトは脚を切断されるとどうなるでしょうか?
例えば誰かにチェーンソーで脚をぶった切られたらどうなるでしょうか?
想像してみてください・・・
出血多量で死にますね。
例えばトラックに脚を轢かれて、潰れて、病院で切断することになったらどうなるでしょうか?
想像してみてください・・・
自分で立つことや歩くことができなくなり、車椅子や寝たきりでの不自由な生活を送ることになりますね。
また、寿命も大幅に短くなるそうです。
このように、ヒトは他者にぶった切らても治療の一環として脚を切断したとしても取り返しのつかないことになります。
ゴキブリの場合
では、ゴキブリの脚をちょん切るとどうなるでしょうか?
ヒトとは違い、血は出ません。
なので出血多量で死ぬことはありません。
代わりに、カサブタができて傷口をふさぎます。
次にBMPシグナル伝達経路とJAK-STATシグナル伝達経路が働きます。
シグナル伝達経路によって体への指令を出して脚を再生させます。
BMPシグナル伝達経路は骨の形成に関与し、JAK-STATシグナル伝達経路は細胞の増殖などに関与すると言われています。
そしてzfh-2という遺伝子の発現を制御する物質(タンパク質)がつくられます。
zfh-2は芽体と呼ばれる未分化の細胞の増殖を制御しています。
さらにzfh-2が活性化するとbab1、BH2、Lim1という物質(タンパク質)がつくられ、さらに芽体が増殖します。
こうして芽体という脚の材料がつくられます。
続いて、Notchシグナル伝達経路が働き、drm、bowl、bab1という物質(タンパク質)がつくられます。
そして芽体をもとに脚の形態形成が行われます。
その後に、Hippoシグナル伝達経路によってYokiという物質(タンパク質)がつくられ、脱皮します。
すると、1回の脱皮で元の脚の約85%が再生します。
ちなみにBMPシグナル伝達経路とJAK-STATシグナル伝達経路からzfh-2ができてbab1、BH2、Lim1ができる反応経路とNotchシグナル伝達経路からdrm、bowl、bab1ができる反応経路は今回新たに発見されました。
まとめ
ヒトは脚を切断されると死亡するか不自由な生活を余儀なくされ、寿命も短くなるという取り返しのつかない結果になります。
しかし、ゴキブリは脚を切断されると体内で様々な細胞や物質が複雑に作用しあって働くことによって、ほとんど元通りに再生します。
この見えない激動に思いを馳せてみてはいかがでしょうか
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